アメリカ軍による基地周辺市街地のパトロールや逮捕権行使の拡大が問題となるなか、軍は那覇市でも憲兵隊によるパトロールを実施する方針であることが分かりました。

那覇市によりますと今月10日、在沖アメリカ海兵隊のウォルフォード少将が知念市長と面談し、那覇市松山地域で憲兵隊によるパトロールを実施する意向を伝えたということです。これに対し知念市長は、実施する場合には地域や観光客などへの配慮を徹底するよう求めたうえで、理解を示しました。

アメリカ軍は日米合同での実施も提案しましたが、知念市長は、「今は実施の段階ではない」と答えたということです。

アメリカ兵などによる事件・事故を防ぐため、軍は2000年に、沖縄市や北谷町などで「生活指導巡回」を始めました。「生活指導巡回」は下士官が私服姿で行い、逮捕権は行使せず、事件・事故を確認した場合には県警に通報するというのが、開始当初のルールでした。

しかし現在は制服姿のアメリカ兵が巡回していて、さらに憲兵隊によるパトロールの実施となれば、基地周辺にとどまらず、広く市街地での治安に軍が関与する姿勢が明確になります。

一方で、基地内に連行された容疑者のその後の身柄引き渡しなど、日米地位協定上の問題は棚上げされたままです。