「熱心な先生」
強豪校だったコザ高校空手部に入部したAさん。「熱心な先生」という印象だった顧問の指導を受けていた。

Aさんの死後「懲戒免職」となった元顧問は、LINEの履歴を調査委員に任意で提出していたが、AさんのLINEの履歴には残っていた、元顧問の“言葉が荒い”部分は、ことごとく削除していた。
遺族は県の「再調査」を求めるため、県議会にも足を運んだ。Aさんの母・みかさんは、競技に打ち込んできた息子の思いを訴えた。
県議会で Aさんの母・みかさん(仮名)
「(息子は)週末も夏休みも家族のイベント行事もお泊り会も全て我慢して、練習に向けてひたすら時間を費やしました。それは沖縄県代表として県外大会で活躍したいという願いがあったからです」
「17歳という短い生涯の半分は沖縄県代表として必死に頑張ってきたんです」
「息子が生きた証と尊厳を守ってほしい」
母は、元顧問との関係に悩む息子に寄り添ってきた。
Aさんの母・みかさん(仮名)
「亡くなる前日まで本当に、一緒に考えていこうねって、あなたが頑張っていることはみんな分かっているからね、って。朝起きても“きょうは眠れた?”っていう話をしてて、「うん、うん…」って返事はするんですけど」

「…自分の中で耐えていたのかな」
「このことを口に出すことが本当に苦しくて、苦しくて。毎日泣いては、がんばろう、泣いては、がんばろうの繰り返しで」
「仕事が終わっても近くの墓苑に。そこにいないんだけど、毎日ただいまって言葉は出したいと思っていて」

息子が亡くなって、遺族の時間は、止まっているようだった。
Aさんの父・さとしさん(仮名)
「本当に…辛かったですね」
「すみません、言葉にするっていうのがちょっと、なんか…」
そして2021年8月。
玉城デニー知事
「このような事案を二度と繰り返さないために総務部私学課において第三者調査委員会を設置することといたしました」
県は、Aさんの死について、教育委員会から独立した新たな第三者委員会の設置を決定し翌年の1月から「再調査」を非公開で始めたー