元運転手の女性に対する強制わいせつの疑いで書類送検され、今年2月に嫌疑不十分で不起訴となった南城市の古謝景春市長について、検察審査会は10月24日付けで「不起訴不当」と議決しました。今後は再び那覇地検で捜査されることになります。

事件は2022年12月、古謝市長が走行中の公用車の車内で元運転手の女性の胸を触ったとして、去年11月に強制わいせつの容疑で書類送検されていたものです。

古謝景春 南城市長

那覇地検は今年2月、嫌疑不十分で古謝市長を不起訴処分としましたが、元運転手の女性は、処分は不当だとして代理人を通じて那覇検察審査会に審査の申し立てを行っていました。

公表された検察審査会の議決では不起訴処分について、一般市民の感覚からすると到底納得のいくものではないとして、以下の3点に言及しました。

(1)被害者女性の供述は具体的で一貫しており、信用性が高い

(2)車内の会話を録音した音声データで、女性の「胸触ったりしたでしょ」という問いかけに古謝市長が「うん」と返答した点を、検察側は「肯定も否定もせず単に相づちを行っているだけ」と評価したのに対して、検察審査会は、古謝市長が自認(肯定)していると評価した

(3)古謝市長が女性に対して「裁判するなら昔の事実も全部公表します」とメッセージを送信したことは、強制わいせつ行為の口止めと評価できる

検察審査会は、事件の目撃者がいないため立証が困難であることは理解できるとしつつ、「この種の犯罪の多くが泣き寝入りになる」として、再度捜査を尽くし、各供述の信用性を再評価するよう求めています。

那覇地検が入る合同庁舎

この議決によって那覇地検は事件を再捜査することになり、古謝市長は起訴される可能性もありますが、再び不起訴となった場合、もう一度検察審査会で審査することはできません。

古謝市長はこの事件をきっかけに職員への複数のセクハラが告発される事態となり、市が設置した第三者委員会が辞職を提言していました。

しかし古謝市長は自ら辞職せず、先月、市議会が市長に対する不信任決議を可決すると今度は市議会を解散。南城市ではそれに伴う市議選が来月9日に行われることになっています。