ー平和祈念祭当日ー
この日、はじめて生徒たちと対面した宮城さん。戦争に青春を奪われた学友に近い生徒の姿を目を細めながら見守った。
「ああ、いつまでも伝えてよ」作詞・作曲/宮城政三郎
きょうも吹き渡る摩文仁の丘に 建てる「学徒の碑」亡き数記す 「刻銘版」を君知るや 十代の学徒らの沖縄戦 伝えてよ ああいつまでも 伝えてよ 伝えてよ
あの日の面影よ摩文仁の風よ ここに我立てば戦の悲劇が甦り 心いたむ 語れども語れども語り継がん 伝えてよ ああいつまでも 伝えてよ 伝えてよ
きょうも吹き渡る摩文仁の丘に 不戦の誓い津々浦々に 響き渡れ我ら立つ 平和世に生きたいと 友の無念を 伝えてよ ああいつまでも 伝えてよ 伝えてよ
自身の歌を歌う生徒の姿に宮城さんも全身で応えた。
過去の悲劇を伝え続ける。託された思いを精一杯歌にのせた合唱部の姿は多くの参加者の心に届いた。
▽参加者「頑張ってくださいね。ありがとうございます」
 ▽生徒「大切に歌わせていただきます」
▽15歳で戦場へ 翁長安子さん(94)
「安心しました、いつまでも伝えてよとこの歌の通り、みんなが歌ってくれると思います」
▽18歳で戦場へ 渡口彦信さん(97)
「宮城さんの作詞作曲、胸にじんときました。いついつまでも、この戦争の苦しみ伝えて、またと戦争がこないようにその思いをずっと伝えてほしい」
▽16歳で戦場へ 瀬名波榮喜さん(95)
「心に迫ってきますね、本当に、涙が出てきますよ。是非ああいう風にいつまでも語り継いでくださいと、同じ思いだと思いますよ」
▽生徒ら
「宮城さんの書いた歌を歌わせてもらって本当に光栄に思います。ありがとうございます」「語り継いでいきます」
病気の後遺症でここ数週間、言葉を発することが難しくなってしまった宮城さん。生徒の言葉に感情が溢れた。
▽首里高校合唱部 翁長優百さん(2年)
「実際に宮城政三郎さんに会って、二度と戦争を繰り返してはいけないという思いは共通していると思ったので、政三郎さんにその思いを伝えることができたかなと思います」
▽首里高校合唱部部長 仲里伊織さん(2年)
「今回こうして歌う機会があり、戦争を体験していないからこそ、私たちが戦争についてちゃんと向き合って伝えていくべきだなと改めて感じた」
戦争を知らない世代が戦争のない平和な世を願う。若者を突き動かしたのは、自らの辛い記憶を呼び起こし語り続ける元学徒の覚悟だった。
沖縄戦では学徒およそ2000人が動員され、その半数が命を落とした。こうした戦争の記憶を継承していくため、首里高校合唱部の生徒たちはこれからもこの歌を通して戦争の惨さ、平和の尊さを伝えていく。(平良優果)








