秋の彼岸に入りお墓参りを予定している方も多いかもしれません。一方で、埋葬の方法は多様化しつつあり、大分県内でも「海洋散骨」を希望する人もでてきています。お墓を離れ、なぜ散骨を選ぶのが取材しました。
沖合に向かう一艘の船。「海洋散骨」の依頼があった4人分の遺骨が乗せられています。

(井口キャスター)「別府湾の沖合およそ5キロほどの地点で船が止まりました。これからここで海洋散骨が行われます」
(まるっと終活大分支援協会・木原寛代表)「この袋にご遺骨が入っています。水溶性の袋です」

県内で海洋散骨を実施しているのは、「まるっと終活大分支援協会」です。
お墓の問題を考える有志が立ち上げた一般社団法人です。
袋の中にはパウダー状になった遺骨が入っています。
(木原代表)「ガイドラインで2ミリ以下のパウダーにしてくださいとなっています」
この日は海洋散骨を検討している女性も乗船し、一連の流れを見学しました。
(見学した女性)「最近父が亡くなりまして、私も独身で子どもがいないのでお墓を作っても後残す人がいないので、前向きに検討したいと思う」

協会では2022年1月から海洋散骨をスタート。最初は月に1~2件でしたが、今は月に10件を超えるペースで依頼があるといいます。
(木原寛代表)「目に見えて問い合わせが増えたのは石原慎太郎さんが海洋散骨をされたのがきっかけ。お盆の時期は家族が一緒に来て、お見送りされる散骨が多かった」
この海洋散骨に生前から予約する人もいます。別府市に住む出塚昭彦さん(81)と和子(77)夫妻は2022年8月、死後の海洋散骨を契約しました。

(出塚和子さん)「私たちは旅が好きなんですよ。それで海洋散骨にすれば海の泡にのっていろんな国に行けるでしょ」
現役時代はフランスやトルコに住み、世界を舞台にファッションやインテリアの仕事をしてきた出塚さん夫妻。14年前に千葉県から別府市に移住したものの、先祖の墓のことはずっと気がかりだったといいます。

(出塚昭彦さん)「孫がいないし、お墓を守る人がいないのでそれが一番重荷だった。誰も守る人がいないんだったら、自分たちの時代に墓じまいするべきだと」
出塚さんは千葉県にあった先祖の墓石を撤去し、遺骨は納骨堂にしまいました。そして夫婦は一緒に海洋散骨を決めたのです。

(出塚和子さん)「重荷が全部・全部消えたこんなにスッキリするとは思っていなかった」
(出塚和彦さん)「肉体は滅びても精神はどこかに生き残るので多分死んだ後もこういう感じで一緒にいると思う」
