妻の入院費を借りようとして「余計なことするな」

犯行の約1か月前の2月5日ごろ、被告は急に立てなくなり、後ろに倒れたあと左足が全く動かなくなった。しかし金がなく、病院には「歩けるようになってから行こうと思った」という。

2月25日、被告は左半身がしびれている状態で、自ら運転する車で妻を通院のため病院に連れて行った。病院で、被告は『手足のしびれ』について、妻は『足の皮膚炎』について、それぞれ専門医を受診するよう勧められたあと、妻が座り込んで立ち上がれなくなった。

弁護人:
──(妻の)入院費用をどうしようと思いましたか?
「金を借りてでも入院させようと。病院から戻って親族に何とか協力してもらおうとしたら(妻が)『余計なことすんな、絶対したら駄目よ』と。そいで、おかしゅうなった。どうにもならんなと思うた」

──なぜ怒ったと思いますか?
「(寝たきりの姿を)身内に見せたくなかったんじゃないかと」

3月8日、被告が介助し、杖を使えば立つことができていた妻が立てなくなった。コタツで寝た状態から全く動けなくなったという。

3月11日、今度は被告が親族の前で倒れた。病院に運ばれるとCT画像を見せられ「軽い脳梗塞の疑いがある。仮入院が必要だ」と言われる。

弁護人:
──(医師には)どう答えたんですか?
「“妻が寝たきりで行かれんです”と言うたら、かかりつけ医に行って(奥さんの)入院先を見つけてもらいなさいと。検査しないとあなたも大変なことになりますよと」