秋の夜空に、約1300年ぶりに訪れた宇宙の旅人「レモン彗星(C/2025 A6)」が、観測の絶好機を迎えています。条件が良ければ、肉眼で見ることもできます。観測のコツと楽しみ方を紹介します。

レモン彗星ってどんな彗星?

記事の写真は長崎県天文協会の松本直弥さんが、17日午前5時頃捉えた「レモン彗星」です。

果物のレモンではなく、2025年1月3日に発見されたアメリカの「レモン山天文台」にちなんで名付けられました。

この彗星が前回、太陽の近くに来たのは約1300年前。そして次に訪れるのは約1100年後と予測されています。惑星の重力の影響で軌道が少しずつ変わるため、周期も変化するのです。まさに「一期一会」の天体と言えます。

レモン色?

写真では緑色に写ることが多いですが、これは彗星に含まれるガスの影響です。国立天文台によると、肉眼や双眼鏡では「ほのかに緑がかって見える程度」とのこと。カメラは淡い光を蓄積できるため、より鮮やかに写ります。

いつ、どこで見られる?

観測好機: 10月下旬から11月上旬。

特にオススメ: 10月24日頃から11月2日頃。この期間は日没1時間後の高度が20度以上あり、比較的見つけやすくなります。

時間帯: 日没後の西の空。空にまだ少し明るさが残る夕暮れが終わり、完全に暗くなった頃が狙い目です。

探す方角:西の空、低い位置です。建物や山などで視界が遮られていない、開けた場所を探しましょう。

注意点と観測のコツ

レモン彗星の明るさは3等〜4等と予想されています。彗星は星と違い、「ぼんやりと広がった天体」です。明るさの等級は、その広がった光全体を集めたもの。そのため、同じ等級の点像の星(恒星)に比べて、淡く、見つけにくく感じられます。

まずは暗い場所へ: 街明かりが少なく、空が澄んでいる場所が絶対条件です。市街地での肉眼での観測は難しいでしょう。

双眼鏡は必須アイテム!: 肉眼で見えなくても、双眼鏡を使えばぼんやりとした光のシミのように見える可能性が格段に上がります。まずは双眼鏡で探すのがおすすめです。

裏ワザ:一度双眼鏡で彗星を見つけた後、その位置を覚えてから改めて肉眼で見てみましょう。脳が「そこにある」と認識するため、淡い光でも見つけやすくなることがあります。

はるかな時を超えて、今私たちの地球のすぐそばを通り過ぎていくレモン彗星。この秋、最大の天体ショーを、どうぞお見逃しなく。