「今までない」は「何のあてにもならない」長年の経験通用せず

気象庁が線状降水帯の発生を発表するのは、石川県内では今回が初めてでしたが、住民も「こんな雨は経験したことがない」と口をそろえます。

自宅が床上浸水した津幡町竹橋の90歳男性は「この雨ならどうなるかは大体分かるが、今回はいっぺんに水が上がったので、対応の仕方がなかった。いつもの水と違った」と語りました。

男性が住む津幡町竹橋 津幡川が氾濫した=7月

また津幡町中山に住む男性も「線状降水帯は、今までテレビであちこちニュースを見ていたが、ここはそこまでとは思わなかった」と振り返ります。

谷口教授は、気候変動で長年の経験が通用しなくなってきていると警鐘を鳴らします。

「『過去にない』『以前はこうだったから』『今までこんなこと起きなかったから』、そういった経験に頼ってしまいすぎるのは、危険な状況になってきている。過去になかったから今回も大丈夫というのは何のあてにもならない。なるべく早く行動する。決して行動することは悪いことではないので、何より自分の身を守るということで早く行動してほしい」(谷口教授)

長年の経験が通用しなくなってきていると警鐘を鳴らす谷口健司教授

石川県では、2022年8月の小松市の水害でも「まだ大丈夫だと思った」や、「家の畳を上げようとしていた」と話す住民が多くいました。今回は1階部分の床上浸水でしたが、全国のこれまでの線状降水帯では、2階部分まで浸水して逃げ場がなくなったり、家ごと流されたりして命を落とすケースも起きています。いざというとき、逃げる勇気をもつことも大切です。