首都直下地震について、政府は12年ぶりに被害想定などを見直し、きょう公表しました。死者は最大1万8000人にのぼると想定され、政府は「自分ごと」として対策に取り組むよう呼びかけています。
30年以内に70%程度の確率で発生するとされる、マグニチュード7クラスの首都直下地震。甚大な被害が出るとされていますが、前回、被害想定が出されてから12年が経過していました。
そこで、政府は専門家らによるワーキンググループでおよそ2年かけて被害想定の見直しなどを進め、きょう、その報告書を公表しました。
■首都圏広範囲が震度6弱以上 死者は最大1.8万人に
報告書によると、最も首都機能に影響が大きい「都心南部直下地震」が発生した場合、想定震度は茨城県から神奈川県の5都県187市町村で震度6弱以上。このうち東京・江東区では最大震度7を観測する想定です。
想定される死者数は最大約1万8000人で、3分の2にあたる約1万2000人が「火災」による死者とされています。
これまでハード・ソフト両面で対策が進められてきましたが、想定死者数は前回(2013年)からわずか5000人減にとどまり、政府が掲げた「10年で死者を半減させる」という目標には遠く及びませんでした。
さらに、経済被害は最大約83兆円と想定されています。
全壊・焼失となる建物は、最大で約40万棟。
ライフラインには復旧に1か月以上かかるものもあり、東京湾沿岸にある火力発電所の被災状況次第では、計画停電が実施されたり、最悪の場合、ブラックアウトに陥ったりする可能性もあるとしています。
首都直下地震対策検討WG 増田寛也 主査
「なるべく多くの国民の皆様に、この報告書の内容を知っていただき、来るべき首都直下地震を自分事として捉え、個人や家庭においては住宅の耐震化や家具の固定・感震ブレーカーの設置、食料などの備蓄に取り組んでいただきたいと思います」
■耐震化・備蓄など「『自分ごと』として対策を」
こうした被害を軽減するため、今回の報告書で打ち出されたのは「ひとりひとりが『自分ごと』として対策に取り組む」というメッセージ。
「首都圏に住む人は、首都直下地震が発生すれば極めて困難な状況に見舞われることを『自分ごと』として受け止めて、自分でできることは自分で行ってほしい」と呼びかけています。
そのうえで「自分でできること」として、家具の固定や住宅の耐震化、食料や水などの十分な備蓄、電気火災を防ぐための「感震ブレーカー」の設置などが挙げられています。
■帰宅困難者や避難者も多数 職場や自宅で過ごせるよう備えを
地震発生直後には、多数の帰宅困難者も生じる見込みです。最大で約840万人と想定されていますが、この8割に当たる約670万人には職場や学校などの居場所がある想定で、「緊急車両の移動などを妨げないよう、職場などで3日以上とどまれる備えをしておくことが必要」としています。
また、避難所に避難する人は、最大約480万人。ライフラインの途絶や物流の混乱が続く影響で、地震発生直後ではなく2週間後が最大になる見込みです。
政府の担当者は「避難所より在宅避難の方が過ごしやすいことは間違いない。できるだけ長く自宅で過ごすためにも、家屋が揺れや火災に耐えられるようにしたうえで、十分な備えをしてほしい」としています。
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