改めて院長に直接聞いた 「ご遺族に説明や謝罪の場は?」

病院が向き合おうとしない中、自分たちにできることはないのか。
淳子さんと章伍さんは、何度も東京に足を運んだ。

厚生労働省に、医療現場における労働環境の改善を求めたのだ。

高島淳子さん
「嘆願書をお渡しに参りました。どうぞよろしくお願いいたします」

そして2023年12月19日。

高島淳子さん
「どうもありがとう。本当にありがとう。苦労かけた。ありがとう」

遺族の刑事告訴を受けた、西宮労働基準監督署は、病院の運営法人「甲南会」と、具英成 院長らを、晨伍さんに規定を超える長時間労働をさせた、労働基準法違反の疑いで書類送検した。

高島淳子さん
「お母さん、本当に悪かった…こんな刑事告訴されるような環境の中で働いていること全然知らなくて…。真実を明らかにして、改善点を挙げて、晨伍がどうして亡くなったかに向き合って、謝罪されることが、全ての方の為になることだと思います」

書類送検を受け、改めて病院に取材を申し込むと、カメラでの対応を拒否。
「8月の会見から認識は変わりません」とコメントした。

専攻医の過重労働を知っていたのに向き合わず、対策をとってこなかったのではないか。書類送検された具 院長に直接問うた。

――(書類送検の)受け止めをいただきたい。

甲南医療センター 具英成 院長
「申し訳ないけど、すみません。しかるべき時に、またお話しさせてもらいます」

――36協定を超えた過重労働を、院長も把握していたんじゃないか?

甲南医療センター 具英成 院長
「ノーコメントです」

――2021年に専攻医が過重労働を訴えていた。それについて認識はありましたか?

甲南医療センター 具英成 院長
「ありません。記憶にありません」

――ご遺族に説明や謝罪の場はないですか?

甲南医療センター 具英成 院長
「それも勘弁してください、今は」

質問にほとんど答えることはなく、その場を後にした。

1月20日。淳子さんと章伍さんの姿は、大阪市内の寺にあった。亡くなった晨伍さんに、ある報告をするため、訪れたという。

高島淳子さん
「これからも見守っていてください。ありがとうございます」

淳子さんら遺族は、病院の運営法人「甲南会」と具英成 院長に対し、過重労働を知っていたのに、是正措置をとらなかったため、晨伍さんは自殺したとして、2億3000万円余りの損害賠償を求め、来週にも提訴することを決めた。

高島章伍さん
「労災認定がとれれば、向き合ってくれるんじゃないか。社会に訴えれば、向き合ってくれるんじゃないか。そういった意味合いを期待しても、裏切られる。(病院側が)1人の人間として、1人の医師として、どう思っているのか」

高島淳子さん
「二度と同じようなことが起こらないように、けじめをつけていただきたい」