2024年正月に起きた地震。発生後まもなく大阪を出て能登半島に向かった私の頭に真っ先に浮かんだのは、石川県珠洲市の和菓子店「多間栄開堂(だまえいかいどう)」。一昨年22年6月にも最大震度6弱の地震が発生。当時私が現地取材したのが明治時代に創業した歴史ある「多間栄開堂」だった。金沢への道中、店主に連絡するが応答はない。あの夫婦は無事だろうか。

 1日の深夜、金沢付近に到着。その先は道が土砂崩れや地割れで寸断され、珠洲市に辿り着けない。2日午後通れる道を見つけて、輪島から約7時間かけて珠洲市内に入る。

 街は22年の地震と比べることができないほどの惨状だ、一目でわかる。視界内の木造家屋はほぼ倒壊、信号機や電柱が傾いて道路を塞ぐ。断水と停電、ほとんどの地域で携帯電話もインターネットも使えない。