シリーズ「小屋番 八ヶ岳に生きる」【第3話】
国土の7割を山が占めるという「山国」日本。
全国に350を超える有人の山小屋があると言われている。
こうした山小屋を営み、山を住処にし、山を自然を、そして登山者を守る人たち「小屋番」。
コンビニもない、車もない、自然と向きあう小屋番の日常は「過酷」そのものだ。
それでも山に魅せられ小屋番として、その「過酷」な道を選ぶ人たちがいる。
このシリーズでは、「コヤガタケ」と呼ばれるほどに山小屋が多い八ヶ岳で生きる小屋番たちの日々に迫る。
「午後4時半、まだ来ない」小屋番たちが察知した異変

八ヶ岳の山小屋「双子池ヒュッテ」には、その日、午後4時半に2名の登山客が到着する予定だった。
しかし、到着時間を過ぎても登山客が来ない。オーナー米川友基さんはじめ、小屋番たちの動きが忙しくなる。

「おーい」「おーい」小屋番たちが大きな声を出しながら向かいの山を見つめる。小屋番たちの鍛えた腹からの呼びかけが向かいの山に響く。しかし返事は無い。あっという間に日が暮れ暗闇が辺りを包む。山が暮れるのは早い。
到着予定から2時間が経った午後6時半、小屋の電話が鳴った。米川さんは慌てて小屋に入りその電話を取る。予約をしてた登山客からの電話だった。
「大きな岩が見えます、これどこら辺なんでしょう?」
登山客は、北横岳から双子池ヒュッテに降りてくる際に、岩場の多い別のコースに迷い込んでいた。
その後、幸い何とか自力で小屋に辿り着いたが、今回のように遭難に繋がりかねないケースが跡を絶たないという。














