■いろんな人の手が加わっている 宿「その火暮らし」オープン

2021年6月に地域おこし協力隊の任期を終了。宿の状態はまだまだ完成には程遠かったため、いろんな仕事をして食いつなぎながら手をかけて、2022年10月にプレオープンの日を迎えた。「周りにたくさん宣言することで自分にプレッシャーをかけて、なんとかここまでこぎつけることができました。」と林さん。

宿には多くの人の手を借りた。暖簾は草木染めをやる友人にお願いし、器は土器をつくる人と、この土地の土で一から作りあげた。囲炉裏は漆塗りをやっている人に仕上げてもらった。手づくりの温もり、木が醸し出す安らぎ。そして宿の主である、かまどと薪ストーブの存在感。

宿のプレオープンを知り、今までに出会った人がお祝いに来てくれた。旅行客も含め、宿泊者は10月からの3か月で100人ほどを数えた。「プレオープン価格で提供しながら、反応を探るつもりでしたが、思っていた以上にたくさんの人に宿泊して頂きました」。

土地のものを活用して地域の方々と一緒に作り上げてきた「その火暮らし」(写真提供:林さん)

■焚き火でベーコン、パンを焼く 火で仕上げる料理をお客さんと一緒に作る

林さんが営む宿「その火暮らし」の魅力は、火によって輝きを増す。「火で仕上げる料理をお客さんと一緒につくります。焚き火でベーコンをつくったり、パンを焼いたり」。焚き火や囲炉裏のそばで、時にお酒を飲み、語らう。お客さんとの距離を保ちつつ、いい関係を築いてきた。

「宿をつくりながら、運営している感じです。来るたびにちょっとずつ良くなって、変わっていく宿。4度も訪れてくれた人もいます」。外国からのゲストも受け入れたいですね、と展望を抱く。林さんの情熱に終わりはない。

林さんが運営する宿「その火暮らし」で提供される「焚き火ベーコン」(写真提供:林さん)