「ヤンキー」「チンピラ」「ヤクザ」「暴走族」「死んで当然」「自業自得」。亡くなった息子のみならず、堤さんたち家族にもその矢は向けられ、「深夜に遊びに出す親ってどうなんや」などの書き込みもありました。
そして、マスコミの取材から逃げる日々も続きました。
堤敏さん
「被害者の私達も半分殺されたとおっしゃる遺族の方もいらっしゃいました。事件から、今まで死なないように生きてきた遺族もいらっしゃいました。私達も全く同じでした。心の中には、今でもそのときの悲しみや苦しみを抱えたままです。
私が前を向いて、一歩を踏み出して行くのに約1年半ほどかかりました」
警察は、のべ3万人を超える捜査員を投入しましたが、事件は長期化しました。
息子は一体誰に、なぜ殺されたのか。カウンセリングや、他の犯罪被害者やその遺族との面会などを通し、ようやく前に進みだした堤さん。
事件の真相を突き止めるべく、チラシ配りやマスコミの取材対応、講演会など思いつくことは何でもやったといいます。
そして、事件発生から10年以上経った2021年8月。事態は急転します。