「寿命の尽きた兵器から取り外したモノ」
政治軍事アナリスト オレキサンドル・コワレンコ氏
「この1年半でロシア軍は多くの砲身を失ったため、倉庫内に眠っていたソ連時代の砲身を蔵出しして使わざるを得なくなった。倉庫にある兵器から砲身を取り外して、今使ってる車両にくっ付けるだけだ。倉庫に保管されていた砲身は新品ではなく多くが寿命の尽きた兵器から取り外した物だ。保管状態は良くなく、金属疲労もみられる。寿命の尽きた砲身は破裂する可能性もあるし、砲身の内部で砲弾が暴発する可能性もある。」
実際に衛星からでロシア内の基地を写した写真を分析すると戦前に152ミリ自走砲が298両あった駐機場に今年5月は155両に減っていて、そのうち砲身が残っている車両はわずか4両だけになっている。
RUSI日本特別代表 秋元千明氏
「自動小銃でも撃ち続ければ熱を持つので銃を交換しないと危ない。運動エネルギーで発射する筒を持った兵器は定期的に交換しないと事故になる。ということで、どんどん撃つロシアは頻繁に砲身を交換したので消耗した。新しく作るのではなくすでにあるものを取り外して交換する“共食い”というやり方でやっている。もうひとつの理由は戦術によるもの。ウクライナが防衛線を突破するのにいちばん苦労したのは地雷で、これを撤去しないと進めない。機械で処理することもあるんですが手作業でやらなきゃならないことが多い。その時砲撃で邪魔してくるわけです。従ってウクライナとしては前進するために大砲を潰す必要があって、集中的にロシアの大砲陣地を一つ一つ叩いた。これが功を奏した…」