長引くウクライナ戦争の中でロシア軍の軍事物資が不足していることが度々報じられてきた。中でも今回は陸地戦の要、大砲、その“砲身”の話だ。
「ウクライナ軍はロシア軍の大砲を狙って攻撃」
ロシア軍兵器の残骸をとらえた写真がある。ウクライナの国防省が公表したものだ。そこに映し出された兵器は戦車に似ているが“自走砲”と呼ばれるものだ。興味深いのは砲弾を発射する大砲の筒の部分“砲身”が外部から破壊されたというよりも、内部から破裂したように見えることだ。

つまりウクライナ軍の攻撃で破壊されたのではなく、暴発もしくは消耗による破裂だろうと考えられる。大砲の砲身は一般に1日200発撃った場合、2週間程度で消耗するという。しかしロシア軍は古い砲身を使い続けているらしい。
ロシアの軍事情報に精通するウクライナのアナリストに聞いた。

政治軍事アナリスト オレキサンドル・コワレンコ氏
「ロシア軍はソ連時代の古典的な戦闘方法を採用していて1日の砲撃数が非常に多いのだが、当初使用していた兵器は消耗してしまった。今すべての大砲の砲身が不足している。砲身は弾薬並みに不足している。(中略)ウクライナ軍はロシア軍の大砲を狙って攻撃し、砲身を修理できないほどの数破壊することによって戦地で砲身が足りなくなるようにしている。特定の戦地で砲身や弾薬が足りなくなればロシア軍の攻撃が減るからだ…」
大砲をピンポイントで狙う戦法は功を奏し、今年に入ってロシア軍の大砲は急激に消耗している。しかしロシアではりゅう弾砲などの大砲が大規模生産されていない。














