■停戦交渉は「事実上途絶えている」
井上キャスター:
トルコはフィンランド・スウェーデンのNATO加盟に反対するという立場をとったり、ロシアとウクライナの交渉の仲介を名乗り出たり、何か主導権を握ろうというところがあるんですか。
笹川平和財団 主任研究員 畔蒜泰輔さん:
やはりトルコとしては、欧州とロシアの間で、うまく自国のプレゼンスを高めようという形で、積極的に動いているということだと思います。
井上キャスター:
ロシアとウクライナ、停戦交渉というのは最近なかなか報じられないですが、水面下では行われているんですか、それとも今、途絶えているんですか。
畔蒜さん:
私は事実上途絶えていると思っています。今回のトルコのエルドアン大統領のロシアとウクライナへの停戦の呼びかけも、国連を交えてということであったとしても、明海大学小谷教授が指摘されるように、大きな停戦に向けた動きになる可能性は極めて低いんじゃないかと思います。
井上キャスター:
ロシア・ウクライナ双方ともに有利な立場に立っていないと停戦交渉はしない、そこはまた変わってないですか。
畔蒜さん:
そういうことだと思います。そうだとすると、今の戦況を考えたときには、双方、今、停戦に向けて積極的な意欲があるとはちょっと考えられないということだと思いますね。
■EU ロシア産石油90%輸入停止へ 日本への影響も

ホランキャスター:
そうするとこの状況というのは、まだまだ長引きそうなんですが、ロシアとしては、ロシアに対する制裁解除を訴えている中、新たな制裁ということになるんだと思います。EUの動きです。ロシア産の石油を輸入禁止へという動きなんです。こちらは、EUが、ロシア産の石油3分の2以上を輸入禁止することで合意しました。これまでの量からすると、だいぶ輸入の量というのは少なくなるということがわかります。これ本当は全面輸入禁止で合意したかったんですが、全会一致でなくては決まりません。反対したのはハンガリーです。ロシアへの石油依存度が高いということで、全面禁輸には至りませんでした。したがって、3分の2以上を輸入禁止ということになったようなんです。
EUのミシェル大統領はツイッターで「ロシアの兵器確保に向けた膨大な資金源が、この決定によって断たれる。戦争を終わらせる最大の圧力になる」というふうに話したんです。
今は、3分の2以上を輸入禁止ということなんですが、ゆくゆくは年内におよそ90%輸入停止したいというような方針のようです。

この制裁に関して、経済アナリストの森永卓郎さんは「この決定はある程度ロシアの打撃になる」といっています。しかし、「原油価格が高騰し、日本も含め、返り血を浴びて経済状況は悪くなるだろう」ということなんです。世界的にもやはりこの決定というのは影響が大きそうです。
日本への影響を具体的に見ていきますと、ガソリン価格はこれまでも高騰してきました、これがさらに高騰する。ガソリン価格が高騰しますと、輸送費が上がります。そうすると、あらゆる価格に影響してきます。つまり、貨物船であったり、航空機であったり、輸送費が上がることで、届けるものの価格が、上がってくるということですので、私たちの家計を直撃するようなことになりかねないということです。