「教団は国内の現金や財産を放出する」

去年(2022年)12月にはいわゆる被害者救済法が成立した。そして今、教団に対して解散命令請求を視野に国による質問権が行使されている。ただ質問権は強制ではないので、教団に不利な資料が出されるわけはない。また法律自体も“被害救済”の名前で見えなくしている面もあるが、この法律では過去の事例には遡っての被害者救済はできないし今後の不当な寄付行為勧誘についてもマインドコントロールした献金の禁止は明記されていない。これで今後出て来る被害者は救われるのだろうか?そして政治と教団の関係性の解明はこれで終わったのだろうか。

旧統一教会の創始者文鮮明氏の53年間の発言録をすべて読み、これまでの日本の政治との関係を読み解いてきた毎日新聞政治部記者 田中裕之氏は、再発防止のためにはまだ政治家の説明責任は果たされていないという。

毎日新聞政治部記者 田中裕之氏
「なぜこの教団と関係を築いたのかまだ説明は不十分で、それは安倍元総理の調査をしていないことと、岸田総理が説明責任を個々の議員に委ねたことによって個々の議員が『知らなかった』と説明する事態を招いてしまった。これからでも過去に真摯に向き合って再発防止に向けてほしい」

最近、弁護士連絡会が教団から名誉棄損で訴えを起こされた川井弁護士は、被害を受けた人たちの救済のためには、解散請求が出た時点で教団の財産を保全するための新しい立法が必要だという。

『全国霊感商法対策弁護士連絡会』 弁護士 川井氏
「解散命令の請求が出されても決定までに何年かかるか分からない。さらに解散請求が出そうだとなると教団は国内の現金や財産をどんどん国外などに放出すると思われます。これに歯止めがなければ救うための資金がなくなってしまう。(中略)教団では昨年来、教会改革など口当たりのいいことを言っていきましたが、現実の行動には献金の実態を示す記録を出さなかったり、信徒会に対応を一切任せたりするなど不誠実なんです。教団はそろそろ皆忘れてしまうとタカをくくっているんです。こうした教会の姿勢を許しちゃいけないんだと、解散請求もそうですが被害回復にも、こういう皆さんの関心が必要なんです。とにかく皆さんには忘れないで欲しい。身近な人がいつ引っかかるか分からない問題なんだと認識してほしい」

(BS-TBS『報道1930』 7月5日放送より)