安倍元総理銃撃から1年が経ち、何が変わり、何が変わらないのか…。番組が独自に入手した旧統一教会の内部音声の中で教団トップ・韓鶴子総裁は1000人を超える日本人幹部を前に、現在日本で進んでいる解散命令請求の手続きなどを、自分たちへの“仕打ち”と表現したうえで「私を独生女(救世主)だと理解できない罪は許さない…、政治家たち、岸田をここに呼びつけて教育を受けさせなさい」などと説教した。彼女はなぜ今こんなことを言い出したのか…。
「韓鶴子は現実とずれた認識を持っていた」
旧統一教会は今年5月、教団の象徴となる豪華宮殿『天苑宮』の完成披露をしたが、その後5月18日には韓鶴子総裁は次のように発言する。
「寝ても覚めても伝道!伝道!伝道!その道だけがお前たちが生き、国が生きる道」
その後6月1日には「6か月以内に奇跡を作り出しなさい。24時間、目を覚まして行動するのよ」
そして、6月28日が「私を独生女(救世主)だと理解できない罪は許さない…、政治家たち、岸田をここに呼びつけて教育を受けさせなさい」という発言だ。

“伝道”は即ち信者を勧誘して献金を集めることなのか…安倍元総理銃撃事件以降、日本からの献金が減少しているというが、韓鶴子総裁の一連の発言は、どうやらお金に関係しているようだ。

旧統一教会問題を長年取材するジャーナリスト 鈴木エイト氏
「今、教団は日本からなかなか送金がされていない。それと三男の分派との裁判闘争に負けて700億円の賠償が発生している。そんな中ナンバー2のユンヨンホ(5月解任)が総裁に、いい報告ばかりしていて、実際の教団の財政事情を韓鶴子は把握していなかった。それを知って韓鶴子が急に焦り出した。(中略)“岸田を呼べ”とか言う言葉が出るのは、側近たちが“日本の政治家や首相は真のお母様(韓鶴子総裁)に侍る存在なんですよ”って常日頃から進言してきたから。それで韓鶴子は現実とずれた認識を持っていたということが如実に現れたものと思われます」
「送金ができなくなったので、お金を運ばせた…」
実は、教団の台所事情、相当厳しいらしい…。
旧統一教会問題を長年取材するジャーナリスト 鈴木氏
「韓国国内でも教団所有の優良な不動産がずいぶん売却されているようですし、アメリカでも教団の不動産が売りに出ていて、相当財政事情は厳しくなっているようです」
韓鶴子総裁の説教は1200人の日本人幹部を韓国に呼んで行ったわけだが、1000人を超える日本人幹部がいることにまず驚かされる。
旧統一教会問題を長年取材するジャーナリスト 鈴木氏
「今回は中核の幹部が集められた。男性教会長、女性の婦人会長それぞれ5~600人で1100人から1200人くらいが集まった。教団の内部情報によると(銃撃事件後)日本から韓国の教団に送金ができなくなったので、お金を運ばせたんじゃないかと…。でも教団の内部でも“総裁の発言はおかしいんじゃないか”って意見が出ている。だから内部映像が流出する…」
献金が減少する。総裁の発言に疑問を抱く信者が出てくる。少しずつだが状況は変わりつつあるようだ。だが一方で、“何にも変わっちゃいない”という人たちもいる…。