「“特別軍事作戦”は“祖国戦争”へ」

「もちろん、ロシア国内の情勢は、特別作戦の開始以来大きく変化しました。 ウクライナでの大規模な戦争に展開し、動員が行われました。もちろん不安はあり、経済が心配されます。まだ強くは感じられていませんが、市民にとって生活は困難になっています。それでも戦時中には独自の特徴があるといえます。作戦に反対した人々、プーチンの政策とクレムリンの政策に反対した人々、その多くは国を去りました。したがって、現時点で、ロシアで最も活発で最も強力な勢力は愛国勢力であると言えます。逆に、リベラル勢力は90年代以降最も弱い状態にあります。もちろん戦争は予想外のことが起きますし、人々の気分は非常に流動的ですが、これまでのところ、戦争の最初の年は国内の前線を担う当局に深刻な問題をもたらしていません。それどころか、ロシア国内の政治状況は、数年前は言うまでもなく、1年前に比べて安定しているといえます」
「3年前にはナワリヌイ氏をめぐる大規模なデモ(※2021年1月にロシアに帰国した反体制派指導者ナワリヌイ氏が拘束されたことに端を発する反体制デモ)が行われました。今ではそれを想像することは不可能です。もちろん、軍に関する捏造や特別軍事作戦への抗議に対しては、より厳しい罰が課せられている。さらに、最初の段階では『特別軍事作戦』、つまり どこかでプロの部隊によって行われる作戦で、その他の国民は『座ってテレビを見れば、すべてがうまくいく』とみられていました。9月以降、動員が行われ、プロの部隊による作戦でなく、何十万人もの一般の国民が関与する戦争になった。米国とNATOの関与がより活発になる中、戦争は国を挙げて戦うべきものという性格を帯びてくる可能性があります。ソ連時代の歌のように『我々はどんな犠牲も払う』と。つまり、『特別軍事作戦』が『祖国戦争』に変容する可能性があるのです。そうなった場合、状況が完全に変わり、国民と政権の団結のレベルが全く異なる次元に達します」
「2024年の大統領選ですが、まだ先のことですので、戦況の行方がどうなるか分かりません。ロシアは22年にドネツクなど4州で、特別軍事作戦の最中に住民投票を実施しました。ですから、何か異常なことが起こらない限り、選挙は行われると思います。よほどのことが起こらない限り、プーチン大統領は出馬します。彼が立候補すれば、もちろん圧倒的多数の票を獲得するでしょう。これが私の予想です」