訓練生の中で最年長は、26歳の正岡翔吾(まさおかしょうご)さん。
訓練生63人の総代、つまり「リーダー」に任命されました。

(正岡訓練生)
「入校式で宣誓をやるんですけど、宣誓書の記入を今からやります」

4年間、東京消防庁に勤務していましたが、地元に貢献したいと愛媛に帰ってきました。

(正岡訓練生)
「また身の引き締まるような思いがします」


♪校内放送
「初任教育訓練生に連絡する。寮室前の廊下に整列するように。私語は厳禁とする。以上」

およそ1時間後に始まる「入校式」に向けて、服装の点検が始まりました。

青木瞬教官)頭の上から足の先まで服装は完璧にせえ
片岡満暢教官)服装は一番注意してくれ。自分のことを守れんやつが現場で人なんか助けられから

服装点検では「制服」を着用するよう指示されていました。
しかし・・・

訓練生)すみません。ベルトをスーツ用と間違えました
教官)ないんか?
訓練生)探したらあるかもしれないんですけど…
教官)探せ

初日からハプニングの発生です。

訓練生)これは違う…(ベルトを探す)
教官)ダメやったらもういい。時間だ
訓練生)ああ、ない…


一方、ネクタイの結び方に手間取っていた、今治市消防本部の楠橋さん。

主任教官)楠橋訓練生(ネクタイが)ちょっと右向いとる。真っ直ぐにしろ
教官)よし!
楠橋訓練生)よし!
教官)楽にしとってええ
楠橋訓練生)はい

また、正しい服装には、消防士の証として大切な「階級章」も欠かせません。

教官)階級章はお前らの誇りや!曲がっとったらあかん!真っ直ぐしとけ!
訓練生)はい!
河村訓練生)すみません
教官)階級章は?
河村訓練生)部屋の方に…
教官)取ってこい
河村訓練生)失礼します
教官)階級章、あるなみんな

四国中央市消防本部の河村純(かわむらじゅん)さん。
緊張で所属先の名前がなかなか言えなかった、あの訓練生です。

教官)いつまであったんぞ
河村訓練生)ここに到着まで必ずありました
教官)どこかにあろうが。探せ
河村訓練生)はい

今度は「階級章」が見当たりません。

教官)自分が通ったルート、確認せえ
河村訓練生)はい、失礼します

1つでも大切なものを欠かすと、住民の命を救えなかったり隊員の命を危険にさらすことにつながりかねない消防士の現場。
これも一人前になるための試練です。

青木教官)なんでこんなこと言うかというと、災害でみんなが活動するときに装備品が自分の体を守ってくれるんよな。だから普段の生活から服装は安全・確実、完璧じゃないといけん。ええな
訓練生)はい!


河村訓練生)失礼します。(階級章)ありました
教官)あったん?これはお前の誇りやけんな。絶対なくすな
河村訓練生)はい、以後気を付けます

(河村訓練生)
「一層引き締まりました。やはり厳しいですけど半年間頑張って乗り越えようと思いました」


~入校式~
「訓練生、起立! 敬礼! 直れ!」

こうして、63人全員が無事に入校式を迎えました。


(正岡訓練生・総代宣誓)
「​厳正な規律と団結心を養い、心身の鍛錬によって立派な消防人となることを固く誓います!」


座学や実技訓練など、あわせて805時間に及ぶ半年間の「初任教育」。
立派な消防士を目指す訓練生たちは、険しい道のりを歩み始めたばかりです。