政界大再編の序章か

1990年代の政治改革で衆院に小選挙区制が導入されて以降、日本の政治は大きく揺れ動いてきた。93年には非自民の細川護熙連立政権が誕生。その後、自民党は社会党(当時)の村山富市委員長を総理に担いで政権に復帰するという奇策にも打って出た。

09年には民主党が政権を奪取したが、混乱が続いて12年には自民党が政権に戻り、第2次安倍政権が誕生した。その後、旧安倍派を中心とした裏金問題が発覚。物価高対策への批判も高まり、自民党政治は行き詰まりを見せてきた。

初の女性総理・高市氏の下で自民党は再生をめざすが、果たして実現できるのか。この総選挙はまさに、自民党政治を問うものとなる。

自民、維新の与党が勝利し、新党「中道改革連合」が伸び悩むようだと、野党側の分裂・再編は必至だ。逆に自民、維新が敗れて、中道が勝利すれば、自民党が分裂する可能性も出てくる。国民民主党、参政党、れいわ新選組、共産党、保守党、社民党、チームみらいの各党の動向も含めて政界再編が動き出すだろう。

米中両国のはざまで翻弄される外交、1000兆円を超える財政赤字、歯止めがかからない少子化……。政策課題は山積している。

いずれも「100対ゼロ」の議論は意味をなさなくなっている。具体的な妥協点を見出す「60対40」のような建設的な論争を踏まえた国民の選択が求められる。そのうえで、長く政権を担ってきた自民党に委ねるのか、中道改革連合を中心とする政権への交代を選ぶのか。久しぶりの本格的な政権選択選挙で試されるのは日本の民主主義の成熟度である。

〈執筆者略歴〉
星 浩(ほし・ひろし)
政治ジャーナリスト・TBSスペシャルコメンテーター
1955年、福島県生まれ。
79年に朝日新聞入社、85年から政治部。総理官邸、自民党、外務省などを担当。ワシントン特派員、特別編集委員などを歴任。
2004-06年、東京大学大学院特任教授。
16年に退社し、TBSへ。「NEWS23」キャスターやコメンテーターを務める。
著書に『自民党幹事長』(筑摩書房)、『官房長官 側近の政治学』『永田町政治の興亡』(いずれも朝日選書)など。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。