解散総選挙の号砲が鳴った。史上初の女性総理の決断の背景、そして野党側の大胆な動き、今回の選挙の持つ意味や争点などを、永年にわたって日本政治をウォッチしてきた星浩氏(TBSスペシャルコメンテーター)が読み解く。
高市早苗総理は1月23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散。総選挙は27日公示、2月8日投開票となった。
高市総理が自民党の勢力回復で政権の安定をめざすのに対して、野党側は立憲民主党が公明党と新党「中道改革連合」を結成、政権交代を狙う。二大勢力が激突する総選挙となった。
物価高対策や外交・安全保障をめぐって、国民はどう判断するのか。日本の将来を決める重い選択の時が迫る。
高支持率で解散強行
高市総理は19日の記者会見で23日の解散を正式に表明。「総理大臣を選ぶ選挙だ」と述べ、自民党と日本維新の会による与党が過半数を得て、総理を続投したい考えを強調した。
解散に至る経緯を振り返ってみよう。
高市政権は昨年12月中旬、通常国会の召集を1月23日と決めた。高市総理の施政方針演説から衆参両院での代表質問、衆院予算委員会での予算案審議と続くことが想定された。
衆院で2月末に予算案を可決した後、参院でも3月下旬には可決、成立する運びを描いていた。衆院の解散・総選挙はその後にタイミングを探るとみられていた。
野党の国民民主党とも「年収の壁」を160万円から178万円に引き上げることなどで合意し、予算の年度内成立に向けた協力を確認していた。
ところが、1月上旬になって高市総理は通常国会冒頭での解散を示唆するようになった。この間に何があったのか。
台湾有事をめぐって高市氏が「(自衛隊の出動につながる)存立危機事態になり得る」と答弁した問題では、中国の反発が続き、日本への渡航自粛に加えレアアース(希土類)の対日輸出規制も取りざたされている。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党政治家との関係を示す新たな内部文書が韓国で報道され、真相解明を求める動きも出てきた。
安全保障担当の官邸幹部が「核保有が必要だ」と発言し、与野党から批判を受けた。
連立の一角を占める日本維新の会では、所属する地方議員が組織的に国民健康保険の保険料の納付を逃れ、一般社団法人の理事として社会保険に加入していたことが発覚。悪質な脱法行為だと指摘されている。
これらの問題が国会で追及されることは必至だ。特に衆院予算委員会は、委員長ポストを立憲民主党の枝野幸男元代表が務めており、野党主導の運営となっている。高市総理の答弁次第では審議が紛糾する可能性が大きい。
高市内閣の支持率が高い(JNNの1月調査では「支持」が78.1%、「不支持」が18.6%)中で衆院を解散して勝利すれば、予算委でも委員長ポストも自民党が占めることができる。さまざまな疑惑追及もしのげるのではないか――冒頭解散の狙いについてそんな解説が広がっている。
それでも高市総理は解散の方針を貫き、1月19日の記者会見で23日に解散する考えを表明。解散の理由については「積極財政などの政策転換について国民の信を問う」「政治の安定を実現する」などと述べたが、高市政権の主要政策を盛り込んだ新年度予算の成立を先送りしてまで早期の解散に打って出た理由は明確にされていない。「支持率の高いうち解散」というのが、政権内から聞こえてくる本音である。














