遺体安置所はドラマのような部屋ではなかった
自宅に戻りテレビをつけると、「男性何人、女性何人が病院に運ばれました」などと記者が中継するニュースが続く。伸子さんは警察署へ向かい、そこで兄の写真を見せられた。「とてもきれいな顔をしていました」と振り返る。
そして遺体のある別の警察署へ移動した。時刻はすでに夜中を回っていた。
遺体安置所は、ドラマで見るような、白い布がかけられたような部屋ではなかった。警察の駐車場の一角にあり、兄は引き出しの中から黒い袋に包まれて出てきたのだ。
警察官が袋を開けて家族で兄の顔を見たとき、父親がその頭をなでながら「よう頑張ったな」とつぶやいた。そして家族全員が泣いた。














