2021年12月17日。伸子さんは当時中学生だった子どもと、午後の学校懇談会を前に昼食のレストランに入っていた。注文をすませて携帯電話を開くと、ニュース速報が目に飛び込んできた。
「大阪の西梅田、火災発生」最初は気に留めなかった。しかし別の記事に見覚えのある窓が映る。胸騒ぎがした。建物に煙が立ち込め消防隊が活動する写真。そこは兄が院長を務める心療内科クリニックだった。

「そんな煙が立つわけない。放火だな」
直感的にそう思い、急いで子どもを連れて現場へ向かった。
見たこともないほどの数の人と、多数の緊急車両が集まる。兄がどの病院に搬送されたのかを知りたくて、消防士や警察官に次々と尋ねたが、誰一人答えられる者はいなかった。














