海氷の減少が止まらない負のスパイラル

 太陽からの光を地球の表面や大気が反射する割合のことをアルベド(反射率)と言います。雪や氷で覆われた海氷は、アルベド(反射率)が約80%と高く太陽の光をほとんど反射します。このため、海氷が温まりにくく溶けません。それに対して海水のアルベド(反射率)は約10%と著しく低く、海水が太陽の光をほとんど吸収するため海水温が上がります。夏場に強い日差しが降り注ぎ日本周辺の海水温が高くなったと毎年話題になりますが、それと同じ原理です。海水温が上がるとその上に乗っている海氷が溶けて減少します。

 北極の海氷の減少には、この「アルベド」が大きく関わっています。メカニズムは以下のとおりです。
1 海氷が溶けると雪や氷で覆われた海氷が減り、海水面が露出
2 露出した海水面により「アルベド」が低下し、太陽光をより多く吸収するため海水温が上昇
3 温まった海水はさらに海氷の融解を促進し海水面の露出面積が増加

 これが繰り返されるため、海氷の減少が始まると、なかなか止まらない負のスパイラルに入ってしまいます。
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