《核ごみ問題と町の未来…選挙戦で揺れた心の内》
大串伸吾氏(10月29日取材)
「『核ごみ』の賛否について分からないと思っている人は、その話題を出された時点で引いてしまう。話を聞いてくれなくなっちゃう。だから私は、前面には出したくなかった。仲間と一致団結する中では(反対姿勢を強く)出さざるを得なくなったっていうのが、本当のところ」

『核のごみ』の問題だけでない、町の未来を見据えた、具体的な議論が必要ではないか。そんなジレンマが大串氏にはありました。
街頭演説する大串伸吾氏(10月25日取材)
「多額の交付金があっても国策に翻弄され、わだかまりを抱きつづける町民の姿は、私は幸せであるとは思えません」
大串氏と寿都町の縁は、14年前に遡ります。大学院生のとき、サクラマスの研究で町を訪ねたことがきっかけでした。地元の人たちや、自然豊かな環境に惹かれていきました。やがて「水産振興に力を貸してほしい」と、役場から声が掛かり、町の職員に…。ところが5年前、大きな転機が訪れたのです。
片岡春雄町長(2020年8月取材)
「5年、10年先を考えていったときに、いま安心していられない。その中で核の最終処分場を勉強しながら検討する」

2020年当時、片岡町長が表明したのは、最終処分場の選定に向けた第一段階、文献調査への応募方針でした。大串氏は反対の姿勢を示し、寿都町役場を退職。20年ぶりの町長選では、調査の撤回を訴える新人候補の支援に回りました。しかし、235票上回った片岡町長が再選。寿都町は、文献調査継続へと進みました。

大串伸吾氏(2021年10月取材)
「(越前谷候補が)走り抜けてくれた、後ろ姿を見せてくれた。僕ら世代に託されたと思う」
のちに町議となった大串氏。今回は、その職を辞して、町長選に挑みました。














