万博会場から「SDGs未来宣言」をする意義
Prosperity部門では、環境と経済の調和や、地域との共創など、豊かさで未来をデザインするアイデアを7チームが発表した。その中でProsperity賞を受賞したのは、宮城県農業高校「桜プロジェクトチーム」。高温や乾燥、塩害に耐性がある桜色活力剤を開発した。開発に取り組んだのは、猛暑などによって桜が枯れている状況を何とかしたいという思いからだった。
「きっかけは、東日本大震災後に植樹した希望の象徴である桜が、近年の猛暑や乾燥によって枯れてしまう例が相次いでいることでした。このままでは桜が全滅するという危機感を抱え、調査すると高温障害が一因であると判明。私たちは高温、乾燥、塩害に負けない桜の栽培法を構築し、地域と社会に笑顔を咲かせることを決意しました」
実証実験を行なった区では、生存率100%の結果が得られた。研究結果を世界に向けて発表すると、複数の国から桜色活力剤を使いたいと要請があり、作り方から使用方法までを共有している。
参加した22チームはそれぞれ自分たちの「SDGs未来宣言」を発信し、今後も取り組みを続けていく。みらい甲子園総合プロデューサーの水野雅弘氏は、万博の最終週に開催した理由と、高校生たちが発表したアイデアの意義を次のように説明した。
「これからのSDGsを担うのはどう考えても若者たちなので、2030年以降の未来を見据えて取り組む『Beyond2030』を意識して最後の週に開催しました。万博の会場から発信する意義はものすごく大きいと思います。高校生が自らの視点を持って行動に移し、変革する、高校生らしいアクションアイデアでした。自分たちが新しい社会を作るんだと、万博の場所から宣言したことは、自分自身に対するコミットメントになるのではないかと思います」














