一転して番組の放送が再開に
「株価の下落」という経営上の問題が浮上したディズニーの対応は早かった。9月22日、「放送中止」の判断を1週間もたたずに覆し、翌日から番組の放送を再開すると発表した。
ディズニー側は「我々は国内の感情の高まりを悪化させないため、番組制作の中断を決定した」「ここ数日、私たちはジミーと話し合いを重ね、その結果、23日に番組を再開することに決定した」などと説明したが、実態は「有名俳優の反対声明への署名」「ディズニープラス解約運動」などへの危機感を含めたビジネス上の判断だったとみられる。
とはいえ、「言論の自由」を支えようとしたアメリカの消費者や俳優らの行動が巨大企業をも動かしたとは言えるだろう。
放送が再開した9月23日、キンメル氏は冒頭、問題視された自らの発言について、「カーク氏の殺害について軽く扱うつもりは決して無かったし、容疑者の犯行について、特定の集団を非難するつもりも全くなかった」と釈明。「不快に思った人々の気持ちは理解できる」とも話した。
そのうえで、「重要なのは、このような(大統領らを批判する)番組を認めている国に住んでいることだ」と述べ、言論の自由の尊重をめぐってリベラル派・保守派の双方が声をあげたことに感謝を示した。
一方で、トランプ氏への批判は変わらずに展開。「我々のリーダー(トランプ氏)は私やここで働く人々が解雇されるのを心待ちにしていた。私たちのリーダーはジョークが分からず、国民が仕事を失うことを喜んでいる」と切り込んだ。
放送再開当日の番組は大いに注目され、ディズニーによると視聴者が通常の4倍の626万人に達した。SNS上での「切り抜き動画」もすさまじい勢いで再生され、一日で2600万件を超える再生数を記録した。
番組再開に至る経緯は、アメリカ社会で依然として多くの人々が「言論の自由」を重視していることを示したとも言える。
ただ、この「番組中止」騒動を経ても、既存メディアの活動に制限を加えようとするトランプ政権の動きはやんでいない。もう1つ、「言論の自由」をめぐる政権とメディアの動きを紹介しておく。














