誕生から数十億年? 大きさ、速度、軌道…特徴と観測状況
「3I/ATLAS」の直径は、440メートルから5.6キロメートルの直径と推定されています。時速約21万kmという驚異的な速度で移動していて、太陽系に来た天体としては最高記録です。
時速21万キロは、秒速5センチメートルどころか秒速58キロメートル。東京から大阪まで約10秒で移動し、38万キロ離れた月へは2時間足らずで到着する計算です。

速度などから推測すると、誕生から数十億年経っていて、非常に長い時間宇宙を漂って、最近になって私たちの太陽系に到達したと考えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、「3I/ATLAS」の核から出たちりなどが彗星の尾のようになる兆候が確認されているということです。

NASA・ESA(欧州宇宙機関)CSA(カナダ宇宙庁)のウェッブ宇宙望遠鏡による観測では、彗星は太陽に近づくにつれ加熱され、二酸化炭素、水、水の氷、一酸化炭素、硫化カルボニルを放出していることが明らかになっています。

火星探査機からも観測成功
「3I/ATLAS」が太陽系の中で最接近したのは火星です。2025年10月1日から7日にかけて、3,000万キロの距離に最接近しました。
ESAの火星探査機エクソマーズ・トレース・ガス・オービター(TGO)と、マーズ・エクスプレス探査機が、火星軌道から彗星の観測を行い、撮影に成功しました。


TGOは、5秒間の露出で彗星を不鮮明な白い点として捉えました。この観測機器の主任研究者は「これは探査機にとって非常に困難な観測でした。3I/ATLASは、通常の観測する火星よりも約10,000倍から100,000倍も暗いのです」と説明しています。