公民連携の在り方とアリーナがもたらす“シビックプライド”

春川――これは大森市長のお立場ではお答えしにくいかもしれませんが、日本では何でもすぐに国や県、市の補助金に頼る傾向が強いように感じます。新アリーナに限らず、もう少し民間企業が資金面も含めて力を入れても良いのではないかと思うのですが、民間の力についてはどうお考えですか。

大森雅夫 岡山市長

大森市長: 私も春川さんと全く同じ考えです。ただ、やはり企業の力というのは、首都圏や近畿圏と我々地方とでは違うところがあります。同じようにやっていくと、東京一極集中がもっと進んでしまうでしょう。ですから、我々行政がサポートできることはサポートしていくというスタンスです。基本的な考え方は同じだと思っています。

春川――今回の市長選挙でも、新アリーナへの反対意見が一定の票を集めました。しかし、私はアリーナには「社会的価値」があると考えています。経済効果も大事ですが、「シビックプライド」というか、市民の誇りにつながる。「この岡山にこういうものがあるんだ」と、みんなが元気になる。市長がおっしゃる「ワクワク感」の一つの塊になると思うのですが。

大森市長: そもそもの出発点は、プロスポーツが今の総合運動公園の体育館では、もう試合ができなくなるという問題でした。アマチュアスポーツもプロの影響で大会ができない現状もありました。そうこうしているうちに、採算性も必要だということで、コンサートやコンベンションもできるような施設という話になったのです。

やはり、こういう施設があると市民の誇り、岡山への愛着も増していくのではないでしょうか。先ほど話に出た「ハレノワ(岡山芸術創造劇場)」も、多くの人が県外から来てくれています。大阪で見られなかった人たちも40分あれば岡山まで来られる。私は、街にとってこういう施設は必要なんじゃないかなと思っています。

春川――ハレノワは本当にすごいものを作ったなと思いました。私の大好きな宝塚歌劇も岡山で見られるようになりましたし、劇団四季も。望月さん(RSK山陽放送 アナウンサー)は、地元にアリーナがあったそうですね。スポーツだけでなく、コンサートなどで賑わいが生まれるのはどんな感じですか。

望月陽茉莉アナウンサー: 私の実家は神奈川県で、横浜アリーナから歩いてすぐのところにあります。成人式やコンサートなど様々なイベントが開催されていて、時には電波障害が起きてしまうくらい人が集まります。それだけ新横浜に人が集まり、周りのホテルや飲食店も活気づいていくのを肌で感じてきたので、岡山にできたらどうなるのかなというのはすごく楽しみです。