河野監督の説明する小林の強さ

小林自身はまだ今回行った練習が、世界陸上7位という結果にどうして結びついたのか、判断しかねている。「分析しないと次に活かせません」と、自身の中で色々検証している。それに対して河野監督は「色んなものが(これまで見てきた選手を)超えている。底が知れない」としながらも、ある程度の分析はできているようだ。「指導者から見たら、大きな不安要素を1つ取り除いてくれている選手です」という。それが世界陸上でも「走り切ることに関してはまったく不安がなかった」理由である。

「ウチは男性のランニングコーチも付けませんし、距離走でもインターバルでも1人で走って押し切る練習をしています。伊藤もこつこつ続ける能力、努力するセンスはピカイチでしたが、押しきる練習のレベルはもう小林が上回っている。さらに小林も、伊藤と同じように練習を元気に積み上げていける選手です。42.195kmを走り切ることに関しての不安を選手が取り除いてくれたら、指導者としては練習を組み立てるストレスがかなり減る」

1人で押しきる練習ができているから、実戦を意識した30km変化走を入賞を狙うレベルで行うことができた。ではどうして、1人で押しきる練習が高いレベルでできているのか。

河野監督は走る練習をする時間も、トレーニング器具などを使って行う練習時間も、自身でケアをする時間も、小林がチームでは一番だと指摘する。それだけ練習できるのは「入ってくる時に持っていた“中途半端なことはしない”という覚悟を、ずっと持ち続けているから」だと河野監督は感じている。