河野監督は「1時間50分を切ったら100点と思っていて、実際は1時間50分10何秒だった」と言う。つまり100点に近い内容と感じていた。それに対し小林は、「アルバカーキを10としたら6か7」だと感じた。

「アルバカーキより起伏がありましたし、夏のマラソン練習は完璧を求めてはいけない、と代表経験のある先輩たちからも言われていました。その違いを理解することに慣れていないので、どうしても比べてしまって、その辺の気持ちの部分で一番辛かったです」

同じ練習を行っても受け取り方に、経験豊富な指導者と、競技者としてのトレーニングを始めて2年目の選手で違いが生じるのは、あり得ることなのかもしれない。それでも小林は「当日はこれまでの練習を信じられて、弱気になりませんでした」という気持ちでスタートラインに立っている。単独3位を走っていた24km地点で、後続の集団に飲み込まれた時も慌てなかった。精神的に焦ってしまうと動きが硬くなるが、小林はペースダウンすることはなかった。

「不思議と焦りませんでした。大阪では後半、自然と楽になってペースを上げられたので、そういう経験が自信になっていたのかもしれません」

練習してきたことや過去の経験を試合で発揮できる。その感覚が小林の中で確立されているようだ。