専門家「依然として安定しないシリア国内情勢」

シリア情勢に詳しい東京外国語大学・青山弘之教授

このように、市民たちの意識が再建に向かい、民間レベルで日本との文化交流も再び始まりつつあるシリアだが、国内の情勢は不安定なままだ。

シリア情勢に詳しい東京外国語大学の青山弘之教授は、アサド政権が崩壊してから半年以上が経過した現状について、「欧米を始め、日本など一部の国が経済制裁を解除したことにより、外交面で各国との関係改善が進み、復興は少しずつ進んでいる」と述べ、国の再建に一定の進展がみられると評価した。

一方で、6月にあった過激派組織「イスラム国」によるキリスト教会への自爆テロなどを挙げ、「イスラム過激派グループを統制する力が、今の政権にはないようにみえ、不安が残る」と内政面での問題点を言及した。

さらに、少数派であるイスラム教ドルーズ派と遊牧民勢力の衝突を発端に、7月にはイスラエルがダマスカスを空爆。加えて、南部スワイダ県ではこれまでに“殆どみられなかった”分離独立を求める大規模なデモが発生するなど、シリア国内の混乱は収束の兆しを見せていないとした。

――アサド政権崩壊からも治安や政治の混乱が続くシリア。そうした中でも、日本との文化から学びや希望を見出そうとする市民たちがいる。

アニメのキャラクターに勇気を重ね、日本語を通じて未来をつかもうとするその思いが、いつか本当の「復興」につながる日は来るだろうか。