9年前に青森県警の男性警部が自殺したのは職場内のパワハラなどが原因として、遺族が公務災害、労災の認定を求めた裁判の控訴審が、8日に仙台高裁で開かれました。

県警の男性警部の遺族は、自殺したのは長時間労働や上司のパワハラが原因として、地方公務員災害補償基金を相手取り、公務災害=労災の認定を求めています。

1審の青森地裁は「自殺は公務に起因しているとは認められない」などとして、訴えを退ける判決を言い渡しました。

仙台高裁で8日に開かれた控訴審では、原告側は新たな証拠として、自殺した男性警部と当時、同じ部署で勤務していた元警察官による証言を明らかにし、男性警部の自殺はパワハラなどが原因だったと改めて主張しました。

遺族は
「偶然、奇跡的な出会い、人と人とのつながりを通じて9年間封印されてきた事実を明らかにできる方にやっとたどり着いた。控訴審では、公平な審判していただきたい」

被告側は「長時間の叱責や人格否定といった法的にパワハラと言えるものはなかった」と反論しました。

次の裁判は、11月26日に開かれる予定です。

この裁判に関連して、新たに着任した青森県警察本部の安田貴司 本部長が記者会見で、「警察職員の命が失われたことは事実で、必要に応じて誠実に対応していきたい」と話しました。

青森県警察本部 安田貴司 本部長
「警察職員の命が失われたことは事実。大変痛ましい事案であったと考えている。県警として、必要に応じて誠実に対応していきたいと考えている」

また、安田本部長は警察職員1人1人が能力を発揮できるよう、話しやすい環境作りや風通しの良い職場づくりに取り組みたいと話しました。

安田本部長は兵庫県出身の49歳で、警察庁に入ったあと、警備1課警護室長や内閣衛星情報センターの運用情報管理課長などを務めました。