企業の懸念は「トータルで見て考えるべき」
ただ、岩手県のように「賃上げの上げ幅が急激すぎると地方の中小企業や小規模事業者にとっては死活問題」という声もある。
――価格転嫁ができるのか。例えば「地方でラーメンが1杯1500円になったら食べる人はいない」という議論もある。生産性の向上はそんなに簡単ではない
『東京大学』名誉教授 伊藤元重さん:
「賃金を上げると雇用が厳しくなるから、やはり生産性を上げていく、あるいは利益を上げていくことをしなければというプレッシャーは強くなると思う。だた、VTRの中でパートの女性が言っていたように『賃金が上がったら外食1回増やす』とか、“需要を増やす”という意味では、地域の最低賃金を上げることは非常に大きなインパクトがある。なのでトータルで見てどう考えるかだ」
26年春闘「賃上げの勢い」続く?
では、今回の最低賃金の引き上げが、2026年春闘のモメンタムに繋がるかどうかだが、トランプ関税など企業を巡る環境は厳しい状況になっている。

9月に発表された4月から6月期の法人企業統計では、「製造業」の経常利益が「前年同月比11.5%減」と2四半期連続のマイナスだ。
――すでに11%も減益。通年で決算した時に、例えば自動車メーカーの利益が大きく減って2025年並みの賃上げができるかということ

『東京大学』名誉教授 伊藤元重さん:
「賃上げは流れが非常に大事なので、26年は試金石でもある。特に中小企業が多い地域では厳しいが、ここで弱気になってしまうと過去の30年の繰り返し。企業がどこまで踏ん張って、しっかり賃金に出していくかというのは大きなポイントだろう」
――色んな意味での政策的な支援、経済対策も含めて必要な局面にかなり入っている
伊藤さん:
「必要なんだけど出ていない。そろそろ出してもらわないと大変だと思う」
(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年9月6日放送より)