過去最高の上げ幅となった2025年度の最低賃金。しかし、岩手県では最低賃金を決める審議会で「経営者側が全員退席」という異例の事態も…。
引き上げ額で「秋田VS岩手」
4日、全国の最低賃金の改定額が出揃い、全ての都道府県で1000円を突破。全国平均は現在より66円上がり、1121円となった。

▼全国平均⇒時給1121円(66円増・伸び率6.3%)
▼最高⇒東京都:1226円
▼最低⇒高知県・宮崎県・沖縄県:1023円
一方で、最低賃金を巡って自治体間で競う傾向もー。
東北地方では、2024年度に最下位だった秋田県が、8月25日に国の目安額の64円を大きく上回る「80円の引き上げ」で、最低賃金を1031円とした。

これに対し、下から2番目だった隣接する岩手県はその3日後、「79円引き上げて」秋田と同じ1031円に。
しかし、岩手県の最低賃金を決める審議会では、「賃上げの上げ幅が急激すぎる」と主張した“経営者側委員全員が採決で退席”という異例の事態が起きた。

途中退席した経営者側の一人は…
『岩手県経営者協会』藤田芳男専務理事:
「地方の中小企業や小規模事業者にとっては“死活問題のような数字”。地方の経済の実態にまず即していない。雇用の受け皿として地域の企業があるわけで、そこがもし事業停止とか最悪倒産ということになれば、“労働力さえも雇用も奪われてしまう”」
経営者側が退席したあと決定した1031円という最低賃金。
岩手県内に本社があり、東北地方を中心に400店舗以上で約4000人のパート・アルバイトを雇用しているドラッグストアの受け止めは…

『薬王堂』櫻井慶彦執行役員:
「人件費のインパクトは確かに大きいと考えているので、経営に当然コスト面では大きな影響がある」
一方、そのドラッグストアで働くパート従業員からは…
16年勤務・熊谷百合子さん(44):
「桁がね、3桁から4桁になるわけだから上がるっていうのはすごく嬉しい。外食を1回増やしたりとか、いつも見切り品ばかりじゃなくて、たまにはプチ贅沢も贅沢って言わない、それが普通っていうふうになってくれればいいな」
