2023年5月、愛媛県新居浜市の保育園で、当時8か月の田村康至くんが、給食に出された生のリンゴをのどに詰まらせ、一時、心肺停止になった事故。
男の子の意識は今も戻っていません。

両親が2025年11月、保育士を目指す松山東雲短期大学の学生を前に、講演を行いました。伝えたかったこととは?【前編・後編のうち後編】

すべてが変わった「24時間介護」の日々

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(母 早希さん)

息子は今も意識は戻っていません。
声を出して泣くことも笑うこともありません。
ただ本当に静かに眠っています。

私たちは昼夜問わず24時間看護する必要が出てきました。2時間おきのたん吸引や、カニューレ(体内に挿入する管)の交換など、医者がするような医療行為も私たちがやっています。

また、ベビーカーの上で常に上ばかり向いているのではなくて、右や左にしたりという体位変換を2時間おきにしています。
そして、6時間おきの栄養注入。それに伴って、洗い物や準備が必要になってきます。

おしっこは出し切れないので、尿道に管を入れっぱなしにして、常に出せるような状態を作っています。

お風呂は週に3回だけ、訪問看護さんに手伝ってもらって入れています。
それ以外は、体を拭いて着替えさせています。



寝たきりで動かないと体が固まってきて、肺が膨らまなくなったり、骨が変形したりしてしまうことがあるので、週に5回、リハビリを頑張っています。

日々の気分や体調は何となく、顔色と心拍数など、モニターの数字から想像します。

とにかく、全てが今までとはかけ離れた子育てになっています。
仕事とか生活リズム、将来への考え方、あと3歳上の康至の兄との関わり方、全てが本当に変わりました。