やるもやらぬも…「茨の道」が待ち構える理由
前倒しが実施される場合、大まかなスケジュールとしては、9月8日の結果を受けて1週間程度でルール作りを行い、その後1週間で立候補者の決定、そして総裁選本番という流れになる。ただ、石破総理は自ら辞める意思がなく、総裁選が前倒しとなった場合でも「出馬する可能性はある」と原記者は指摘する。その場合、20人の推薦人を集められるかが焦点になる。
一方、前倒しが実施されない場合、石破政権は続くことになるが、9月末には党役員人事を行わなければならない。今回辞意を表明した森山幹事長らに代わる幹部を誰に任命するかが難題となる。
原記者は「石破さんを支えたいという人たちがいるかどうか。いたところで受けてくれるかどうか」と説明する。さらに、前倒しを求めた議員の名前は公表されるため、「前倒しを求めた人を一切排除したような人事になると、それはそれでまた党を二分することになる」と指摘する。
署名提出当日の9月8日は、記者たちも大忙しだ。署名は午前10時〜午後3時までの5時間、自民党本部で受け付けられる。議員本人が提出するのが原則だが、どのように現れるかは様々なパターンがある。

取材する記者たちは、自民党本部の1階のエントランスで待機することになっている。原記者によれば、▼本人が堂々と登場して取材に応じる、▼本人は登場するが取材には応じない、▼別の出入り口からこっそり入退室する、▼(特別な事情がある場合のみ)秘書が代理提出する、という4パターンが考えられる。
特に提出の開始時間となる午前10時は、「みんなが行くから自分も行こう」と提出に訪れる議員が集中する可能性が高いという。
前倒しを求める署名を出すということは「一国のリーダーを下ろす決断」であり、その是非が公表されることで「自民党の中で意思が真っ二つに割れる」状況につながる可能性がある。原記者は「日本国のため、国民のためといったところを考えて署名を書くのか書かないのか、考えてもらいたい」と締めくくった。
自民党にとって前例のない状況が続く中、石破政権の行方は依然として不透明だ。総裁選が行われても行われなくても、党は「茨の道」を歩むことになりそうだ。