「提出すると決めている」麻生氏の一言の波紋と影響
いよいよ9月8日、総裁選前倒しの実施を求める書面が提出される。前倒し実施の要件は、「衆参両院の国会議員295人と都道府県連の代表47人を合わせた342人の過半数=172人以上」の賛成だ。

注目される各都道府県連の判断について、JNN調べ(9月4日午後7時時点)では、▼北海道や兵庫、愛媛など6つの道県が賛成する方針を決定。▼岩手、山梨など5県が賛成する方向で調整を進めていることがわかっている。一方で▼岡山、大分など4県は実施を求めないとしていて、今週末にかけて多くの都道府県連が会議を開き、その結果を見て国会議員も判断するケースが増えそうだ。
注目されるのは麻生太郎最高顧問の動きだ。9月3日、派閥の研修会で麻生氏は所属議員に対し「堂々と胸を張って説明できるような行動をお願いしたい」と述べた上で、「私自身については総裁選挙の前倒しを要求する書面に署名、そして提出をすると決めている」と明言した。

自民党内で唯一残る麻生派(43人)への影響は大きい。原記者は「派閥の領袖が『今回は誰々を支持するぞ』と宣言することで、派閥に所属する議員もそれに従って動いていた歴史もある」と説明する。麻生氏の発言は、所属議員に対して間接的に前倒しへの賛成を促す効果があるとみられる。
一方で高市早苗前経済安保担当大臣は、2日の両院議員総会で、参院選敗北の要因としてポスター貼りなどの広報活動に言及するにとどまり、石破総理の責任には触れなかった。これには過去の総裁選で高市氏を推薦していた議員からも「何を話すんだろうと期待していたが、がっかり」という声も出ているという。
小泉進次郎農水大臣は「解党的出直しが必要だというふうに位置づけたということは重いこと」と述べるにとどまり、前倒しの賛否は明言していない。原記者は「判断がすごく難しいのではないか」と分析する。
小泉氏は、神奈川県連の会長であり、石破内閣の現役の大臣でもあるほか、総裁選への出馬もささやかれる複雑な立場だ。署名するのか、しないのか、いずれにしても大きな責任を伴う決断であり、その態度表明に注目が集まっている。