■ワクチン担当相の“発信力不足”で「インフルエンサー河野太郎の力を借りたい」

政府・与野党では、堀内ワクチン担当大臣の発信力が弱いとの指摘も多い。丁寧な説明に努めていても、国会での答弁を不安定だとする声もある。堀内大臣の周辺に取材をすると・・・

「最近、河野前大臣からもどんどん発信した方が良いとのアドバイスを貰った。もっと“強いメッセージ”が必要だと思っているが、今、試行錯誤しているところだ」

4日には、首相官邸のYouTubeに、河野大臣との動画を掲載し、新旧大臣が対談する形でワクチン接種を呼びかけた。対談形式にしたのには理由があった。

政府関係者は-
「発信力の強い河野前大臣の力を借りました。河野さんは“インフルエンサー”なので」

■繰り返される「これからが接種ピーク」

1月、通常国会で予算委員会が本格化する中、野党からは「なぜ3回目接種が遅れたのか」政府を追及する場面が目立つ。

「1・2回目のタイミングは各国と比べて遅れてしまった。間隔を空けて行わなければならない。3回目の接種について、今年の1月、2月がピークを迎える、ワクチン接種が本格化する、こういったタイミングになってしまった」

岸田総理は何度も「これから接種が本格化する」と苦しい答弁が続いている。なんとか加速を図りたい政府のワクチン政策。しかし、多くの官邸幹部や内閣官房の推進担当者が口を揃えて話していることがある。それは、「1・2回目を打った人がまだ3回目を打たない選択をしている、オミクロン株が今後どうなっていくかを見極め、打ち控えている」ということだ。総理側近はこのように言う。

「何も経験のなかった1・2回目と追加接種では全然ワケが違う。打ちたくない人が増えたよね。でも、これからが接種のピークになるでしょ」

もちろん、ワクチンを打つかどうかというのは、それぞれの選択。国が強制することでもなく、義務でもない。副反応を考慮してファイザーの予約枠を待つ人、ワクチンを打たないと考えている人など、声は様々だ。ただ、オミクロン株の感染が続く今、何よりも政府に求められているのは、“見通しを立てて実行する力”だ。日本では、8月後半以降、感染第5波が一気に収束したことで、コロナに対する切迫感も薄れていった。ピークアウトをする前に、ワクチン接種をいかに推し進められるのか、その結果が今後大きな鍵を握っている。

オミクロン株に応じた対策や“出口戦略”はまだまだ明らかになっていない。
“突破力”を発揮できるのか、岸田政権は正念場だ。

TBSテレビ報道局政治部 官邸担当
中村 由希