トランプ関税の影響はこれから
トランプ相互関税は、ついに8月7日に正式発動され、これまでの10%に猶予されていた相互関税は、15%に引き上げられることになりました。しかも、日本政府が説明する日米の合意内容が大統領令に反映されず、当面、過去の関税率に15%が上乗せされる過大徴収が行われるほか、27.5%もの自動車の関税率が15%に引き下げられる期日もはっきりせず、各企業にとっては、今後の負担増の正確な計算さえできない状態が続いています。冬のボーナスや来年の賃上げに高い期待感を持てる環境ではありません。
自動車産業はトランプ関税で大幅減益へ
とりわけ日本の基幹産業である自動車への影響は大きくなりそうです。7日に発表された最大手のトヨタ自動車の4-6月期の決算は、生産増加で売上高が4%も増加したにもかかわらず、関税に加え円高もあって、純利益は前年同期比37%もの減少となりました。
4-6月決算で言えば、経営再建という構造要因を抱える日産の他、対米輸出依存の高いマツダも赤字転落となりました。
26年3月期の通期見通しを見ると、トヨタの場合、関税の影響が1兆4000億円にも上り、営業利益が33%減少するという予想です。しかもこれは、8月から関税が15%に下がる前提での計算だと言います。
自動車7社合計では、関税の影響は2兆7000億円にも達し、各社の本業のもうけである営業利益は2割から7割減ると見通しています。打撃が大きいマツダでは営業利益73%もの減益見通しです。
基幹産業の利益が3割、あるいはそれ以上減るという環境で、どうやって今年並みの高い賃上げを続けられるのか、というのが、今の日本経済に突き付けられている重い課題なのです。