基調的物価上昇2%という『青い鳥』
日銀がこうしたシナリオを描くのは、「基調的な物価上昇率」は「未だ2%に達していない」という点に強くこだわっているからです。2%未達成である以上、達成のためには、なお物価上昇が好ましいと、考えているからでしょう。まるで「基調的物価2%目標」という、想像上の『青い鳥』の実現のために、自らの行動を正当化しているように見えるのです。
普通の国民は、物価上昇を「基調的なもの」と「一時的なもの」を分けて捉えません。「食料やエネルギーを除いて、物価を考えることなどしません。
誰が考えても、今はインフレ状態であり、2%以上の消費者物価上昇が3年以上も続いているのですから、2%目標は、すでに達成しているのです。だとしたら、新たな適切な政策目標が必要なはずなのに、いつまでも古い目標を『青い鳥』にしているから、理解不能な説明になっているのではないでしょうか。
「基調的物価上昇」なんて、概念的には理解できても、現実世界を生きる、普通の国民に理解してもらうことには無理があります。アメリカの中央銀行のトップが、「基調的」などという言葉を使って、長期にわたって、物価や金融政策を説明したりすることなどありません。