それにしても、あまりに国民の常識とかけ離れていないか、と心配になりました。日銀は、31日、4回連続となる政策金利の据え置きを決定しました。トランプ関税の影響が読めない中での現状維持=様子見は、当然の決定でしょう。それでも、植田総裁の記者会見では、物価高や円安に対する警戒や懸念の言葉が語られることはありませんでした。物価高に対して、何もやれることはないといった姿勢だと、言われても仕方ありません。
関税合意「大きな前進だが、霧は晴れず」

植田総裁は、金融政策決定会合後の記者会見で、まず、日米両政府が関税合意に達したことについて、「大きな前進で不確実性は低下した」と語りました。しかし同時に、「影響はこれからで、一気に霧が晴れたとは言えない。不確実性はなお高い」と金利据え置きの理由を説明しました。そこに異論はありません。
問題は、その先です。植田総裁は、現在の物価高について、コメや食料品価格高騰による「一時的なもの」と位置づけ、「その影響は減衰していく」との認識を示しました。また、そうした一時的な動きを除いた、いわゆる「基調的な物価」は、「まだ2%に届いていない」と述べ、利上げ時期については、今後、慎重に見極めていく姿勢を示しました。