「声を出して飛び込む」のは非常に危険!肺の空気が抜けて浮き上がれない…

飛び込んで遊んでいる際の水難事故も、今年も各地で起きています。斎藤さんは特に「声を出して飛びこむ」行為は非常に危険だと話します。
「大抵はみんな息を止めて飛び込むので、飛び込んだ後にすぐ浮かんできます。ところがだんだん慣れてきて、『よし行くぞ』とか、『ワーッ』とか『キャーッ』とか言いながら飛び込むと、肺の中の空気が抜けちゃうんですよね。
肺の中の空気は、ある意味“浮き具”なので、その空気が抜けた状態で水の中に沈むと、一気に水底の方までどんどん沈んでいくと。そうすると、『あれ?なんか今回だいぶ深く潜ったな』と思って、水面の方に一生懸命手をかいて足をかいて浮かぼうとするんですが、その間に我慢できなくて、水中で息をしようとして水を飲んで、そのまま意識を失うと。上から見ると、飛び込んだのにいつまで経っても浮いてこないという状況になりますよね。そういう形で多くの場合が命を失うということになります。
ポイントは、どうして今回飛び込みに失敗したのかがわからない。失敗したら、もう死んじゃうので。成功時と失敗時の差が、肺の中に空気を溜めていたか否かだという点が分かっているといいのですが、本当にたった1回の失敗で命を失ってしまうということになりかねない。いずれにせよ、やはり高い所から飛び込むのはやめた方がいいと思いますね」
「人工構造物の近くでは遊ばない」「深い所に限って水の流れが弱い。だから近づいてしまう。安全と思って近づいて入ったら、思わぬ深さに溺れてしまう」

Q 水難事故を防ぐために、我々市民ができることや、持つべき心構えをまとめていただけますか?
「まず1つは、やはり人工構造物の近くでは遊ばない。
2つ目に、もし川に入るなら、深さを確認して入っていく。その際に、ひざ下までの水深の場所で遊ぶに留める。それ以上深い所には行かないというふうにするといいと思います。
3つ目なんですけれども、子ども連れの方などは、ぜひとも一家揃ってライフジャケットを着て遊んでほしいと思います。でもライフジャケットを着ても着なくても、『ひざ下までの水深』はぜひとも守っていただきたい。『川泳ぎ』とは言いませんよね。あくまで『川遊び』で留めるということに徹していただきたいと思います」
Q 水の流れの速さより “思った以上に深い”という点に一番のリスクがある?
「その通りです。流れの速さは見れば分かるじゃないですか。ものすごい流れになっていたら、誰も近づかないんですよ。ところが、深さは見てもわからない。だから近づいてしまう。しかも深い所に限って水の流れが弱いんですよね。
水の流れが弱くて、ここは安全だなと思って近づいてしまい、そのままひょいと入ったら、思わぬ深さに溺れてしまうということなので。目で見て、ここは安全そうだという所に実は危険が潜んでいて、その危険にはまってしまうと命を落としかねないということですよね」