お腹はいっぱいなのに「デザートは別腹!」。この魔法の言葉は、単なる気のせいではありませんでした。「別腹」に深くかかわるのは、脳の「報酬系(ドーパミン系)」。脳と胃が連動して起こる不思議なメカニズムを医師に聞きました。

おいしそうなものを見ると胃がゆるむ

食後の満腹感。それなのに「まだ食べられる」と感じ、デザートや、〆の麺類を食べたという経験ありませんか?

実は、「別腹」といはれる現象は単なる思い込みではなく、脳と胃が連動して起こる生理的な反応なのです。

大阪府で糖尿病を専門に診察する、福田正博医師にその仕組みを聞きました。

ふくだ内科クリニック 福田正博院長
「人間の消化器は、食べ物を実際に口に入れる前から『準備』を始めます。おいしそうな食べ物を見る・匂いを嗅ぐ・思い出すだけで、脳から信号が送られ、胃酸や消化酵素が分泌され、胃の上部(胃底部)がわずかにゆるんで容積を広げるのです」

実際に、健康な人を対象とした研究では、食べ物の香りや見た目の刺激だけで、すでに満腹になっている胃の食道に近い部分が、平均で10~20㎖ほどゆるんだという報告もあるといいます。

ふくだ内科クリニック 福田正博院長
「こうしたことから、“別腹”は脳から胃への信号で作られる「準備スペース」であり、実際に存在するとも言えます」