全国各地で相次いでいるクマによる人身被害。北海道内では7月、福島町で新聞配達員の男性(52)がクマに襲われて死亡しました。

また9月には札幌市西区でも、犬の散歩をしていた男性(43)がクマに襲われけがをしました。

こうしたクマによる負傷者の治療に、30年以上にわたり携わってきた医師がいます。秋田大学医学部附属病院の中永士師明(なかえ・はじめ)医師です。

これまでに100例以上の処置にあたってきた中永医師によりますと、クマによる外傷には特徴があると言います。

被害者の9割が“顔面“を損傷

秋田大学医学部附属病院・中永士師明医師
「傷をうけた場所でいくと、ほとんど90%が顔なんですね。顔面外傷といいまして、顔の目から鼻、口、この辺のあたりをケガされる方が多いですよね」

秋田大学医学部付属病院・中永士師明医師

負傷者の9割が顔面に深い傷を負うというクマ外傷。あごや鼻の骨が折れたり、顔が引き裂かれたり。

中には鼻を引きちぎられて、救助隊が現場に落ちていた鼻を拾って形成外科手術で修復したケースもあったといいます。

9割が顔面損傷(提供:中永士師明医師)

クマに襲われた患者のCT画像では、顔の骨が激しく砕けているのが分かります。

クマの攻撃で傷を負った部位のうち、顔面が90%、続いて腕70%、頭部60%、脚40%と上半身が圧倒的に多くなっています。