■グローバルな課題に目が釘付け・・・かすむ内政の課題

4月8日、岸田総理は記者会見でロシアによるウクライナ侵攻について、こう力を込めた。

「ロシアによる残虐で非人道的な行為が、キーウ近郊のブチャのみならず、ウクライナ各地で次々と明らかになっています。ロシアはこれまでも民間人の殺害や、原子力発電所に対する攻撃など、重大な国際人道法違反を繰り返してきました。断じて許されない戦争犯罪です」

ウクライナ侵攻が開始されてから岸田総理は、G7(主要7か国)など欧米各国と歩調を合わせ、矢継ぎ早にロシアに制裁を加えたほか、ウクライナや周辺国への支援を続けてきた。8日には、政府が当初否定的だった石炭の輸入禁止というエネルギー分野への制裁を初めて行うと明言した。さらに8人のロシアの外交官らを国外追放にする措置も表明。これらの制裁はともに日本にも大きなリスクが及ぶ可能性がある。

政府は、ウクライナからの避難民に対する支援についても、生活・医療支援や、日本語教育、職業支援など万全の体制でのぞむとしていて、久しく「難民鎖国」といわれた日本としては異例の措置をとっている。
林芳正外務大臣らとともに、ウクライナ避難民を政府専用機にのせて帰るという超法規的ともいえる手段について、政府関係者は「外務大臣を長らく務めた岸田総理ならではのアイディアだった」と明かした。避難民を岸田総理自らが出迎えるという案もあったという。ウクライナ避難民を積極的に受け入れる政府の姿勢について86%が支持するなど(JNN世論調査4月2日、3日実施)世論が後押ししている。

一方で、ある政府関係者はこう危惧する。

「ウクライナ問題のようなグローバルなイシューに国民が釘付けになっている。野党も含め政策の方向性が違うわけでもなく、欧米ある程度追随していればいいだけ。攻めにくいし総理も本当に運がいい」

世界がウクライナ一色になり、多くの内政の課題が見落としがちになっている。