■因縁のふたり半年ぶりの“和解”「サポートするから何でも言え」
都内老舗ホテルの中にある会席料理の名店。
総理就任してからまもなく半年を迎えようとしていた4月1日、ようやく因縁の2人が酒席でむきあった。岸田総理と二階俊博元自民党幹事長だ。
この2人の因縁は岸田氏が総裁選への立候補を表明した去年8月26日まで遡る。公約で党役員の任期について「1期1年連続3期までにし権力の集中と惰性を防ぐ」という岸田氏の“宣戦布告”が全ての始まりだった。当時5年以上党運営を一手に取り仕切っていた二階幹事長(当時)へ向けられたことは誰の目にも明らかだった。
「岸田が言ったからどうしなきゃいかんってそんなことはないじゃない」
感想を聞かれた二階氏は、露骨に不快感をあらわにした―。
あれから実に7ヶ月以上が経過していた。この会合は、岸田総理「側」から二階氏の“懐刀”、林幹雄元幹事長代理を通して実現した。仲介した人物は、岸田氏が総裁就任後もきちんと両者が会っていないことを気にかけ、「一度食事でもどうですか?」と岸田総理に持ちかけたところ「それはいいですね」と二つ返事で快諾したという。
そして迎えた4月1日午後6時半。岸田総理は二階氏への手土産に地元・広島の地酒を持参した。その日本料理店には、岸田総理、二階氏のほか、4人が同席した。出席者のひとりは「とても和やかな食事だった」と明かす。2時間以上続いた酒席の終盤、岸田総理は二階氏からこう告げられる。
「いかようにも協力するから。サポートするから。だから何でも言え」
「よろしくおねがいします!」岸田総理は深々と頭を下げた。
「この場面がこの飲み会のハイライトだった」と出席者はいう。岸田総理の誕生と同時に非主流派に転落した二階氏との事実上の“和解”の場となった。
後日、二階氏側の出席者のひとりは、「参議院選挙に向けて頑張りましょうって確認だな。連携ではない」と周りに釘を刺すことも忘れなかった。