‟厚生食堂”が開業したのは50年前。
大谷さんの母・和子さんが、地元の漁師に頼まれ、船員向けの食堂として始めたのがきっかけでした。
壁には、‟うどん 400円”、‟カツカレー 750円”など、町の食堂らしいメニューが並びます。

港で働く人たちのために、安くて、うまくて、ボリュームのある食事を提供する。
その思いは息子の健二さんへと受け継がれていました。

店主・大谷健二さん
「母親がそろそろ辞めるかなって言ったから、僕も店をしたいなと思っていたので、『じゃあ僕やります』って。そんな感じですよ。高い志があったわけじゃない。」

謙遜する大谷さんですが、その包丁さばきは、まさに職人技。
金沢の市場で働く兄から仕入れる新鮮なマグロやサワラを手際よく仕込んでいきます。

職人歴40年の大谷さん 慣れた手つきで最後の仕込み

港ならではの新鮮な魚介を使った海鮮丼やフライは、この店の人気メニュー。
特に、外はサクサク、中はふっくらとしたフライは絶品で、勤続15年のベテランパート・藤馬さんは、店主から‟フライ職人”と太鼓判を押されるほどの腕前です。

フライ職人・藤馬さん
「母がこの店を知ってて、紹介みたいな感じで(働き始めました)。もう長いから家族みたいな感じです。」

彼女の好きなメニューを尋ねると、「海鮮丼かなぁ」と笑顔。